Lexile Score 1000の壁とは何か?

米国では、高校の落ちこぼれ(Dropout)率は依然として高止まり傾向が続いており、その多くは移民が占めているそうです。

原因は様々ですが、家庭の低所得によるもの、学業成績の低さから、退学する人数が多いとのこと。

米国に移住したESL(English Second Language)にとっては、英文読解の難易度の高さが落ちこぼれや、低所得層を生み出しているのではないか?

そして、その英語力の低さが世代間を超えて悪循環し、低所得層から抜け出せないのではないか?

と、私には思えてなりません。

日本では幸いに、そのような状況はありませんが、日本人の英語力の驚くべき低さは、嘆かわしいかぎりです。

Lexile Scoreとは、英文の難易度を数値化したもの

Lexile Scoreとは、MetaMetrics社が運営しているThe Lexile® Framework for Readingにて開発された、英文の難易度を数値化した指数です。

自分の英文の読解力に合った適切な本を選択する事にも使えますし、また自分の現在の英文の読解力を数値化して測定する事が可能です。

以下の図にまとめてみましたが、Lexile ScoreとCEFRや、TOEFL、IELTS等との概略的な換算も可能です。

 ※ Lexile Scoreの中央値(Median Lexile Range)で示されている為、重複が存在しています。

 ※ Read Theory文部科学省のデータを参照して作成しました。

Lexile Scoreを測定してみましょう

Read Theoryという英文読解アプリで問題を解くことで、自分の現在のLexile Scoreを測定する事ができます。

ESLのある人の昨年の結果(笑)を掲載しますが、平均値で965Lと表示されています。

Lexile Score 1000の辺りに壁が存在しており、それは丁度Grade8とほぼ重なっています。

Grade8のその上を狙って何度も挑戦しているのですが、この人はB2 Levelですので、常に押し返されていますね。(泣)

Lexile Score 1000程度とは、CEFRでいうとC1 Levelですので、それはつまりTOEFL iBT 100、IELTS 7.0相当です。

CEFRのB2とC1との間の壁であり、またそれはGrade6-8は米国の中学生、Grade9-12は高校生ですので、 米国の高校英語の難易度の壁ともいえるでしょう。

やはり、米国等の大学教育を受けるには、その程度の英語力が必要という事なのでしょう。

Lexile Score 1000の壁 ≒ 米国の中学英語と高校英語の差

以上の私の十分条件(経験測)による結果からの分析としては、以下の【英語の実験室仮説】が立てられます。  

  (A) Lexile Score 1000の壁とは、米国の中学英語と高校英語の間に存在する英語技術力の壁である

壁を仮説で示す事はできましたが、検証は簡単にできるものでは無いです。

では次に、我々は何を考えるべきでしょうか?

我々の対処策としては、米国の高校英語を学べば良い、と結論するのは早計、つまりESLの我々には全てを学習する時間はありません。

米国では、高校生になっても英文読解の授業を受け続けている?

ELAでは、英文法と英文読解の学習(Reading Comprehension)は、Grade2からGrade12でも行っている様子です。

何故、Nativeであっても、英文読解の学習がそれ程までに必要となるのでしょうか?

CEFRのB2とC1の差において、難しさは一体どこにあるのか?

・C1 Level以上になるため、何を学べば良いのか、その重要点は何か?

と多くの疑問が生じてきます。

以後は、私がELAのCCSS(CommonCoreStateStandard)を調査、分析した結果から、上記の疑問への回答となります。

Sentence Structureの徹底的な学習が不足しているのではないか?

ESLにとって、この壁(A)の克服の為に、抑えるべき重要点(米国の高校英語の重要部分)としては、私は以下と推測します。  

 (1) Sentence Structure(文章構造)を徹底的に学習する (英語の重文、複文は難解です)

  重文(Compound Sentence)、複文(Complex Sentence)、重複文(Compound-Complex Sentence)の学習Dangling Modifier、Run-on、Fragment等の悪文を避ける学習

 (2) Conjunctions(接続詞)の学習 (これはSentence Structureと密接に関連している)

  Coordinanting Conjunction、Subordinating Conjunction、 Conjunctive Adverb、Relative Pronoun等の学習、Parallel Structureの正しい用法の学習

 (3) Phrase、 Clauseの適切な配置の学習  (これも重文、複文の要素です)

  Subject Ellipsis、Inversion等の文章の味付け技術の学習

これらの(1)-(3)は、全て重文や複文等の書き方のKnowHowと言えるもので、また英語学習時の最も難解な部分のひとつです。

 重文や複文等で記述され、かつEllipsis、Inversion等の技術で変形、修飾された英文は難易度が高い為、適切かつ十分な学習が必要である、

と総括する事ができます。

まとめ

ESLにとっての英語の難易度が高いと言われている項目は、上記以外にも存在します。

(4) Perfect Tense (完了形)の意味

(5-1) Conditionals(仮定法 1)

(5-2) Recommendations(仮定法 2)

(6) Verb + to Infinitive(不定詞) OR Verb + Gerund(動名詞) の知識

(7) Modal Verbs(助動詞)の使い分け

(4)は図解で示しましたが、その他も図解による見える化でより良い理解が得られる項目ですので、除外しました。

ESLが壁(A)を克服する為には、米国の中学英語に習熟した後、少なくとも米国の高校英語の重要部分(1)-(3)を学ぶべきである、 というのが私の結論であり、かつ仮説的提案となります。

これらを学ぶ事でSkimming(ざっくりと読む)、Scanning(素早く検索する)、Phrase Reading(phrase単位で意味を逐次理解する。Slash Reading、ChunkReadingと同様)、Context Clues(文脈から推測する)、Sight Word(単語を外観から認識する)といった速読に必要な定番の技術も自ずと身についてくるはず、と私は楽観視しています。

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