【英語の魔物の正体】英語の文法的正しさと慣用的正しさとは何か?
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第1章 日本の英語教育の問題点は非常に多い
日本の英語教育には数多くの問題点が存在しています。
まずは、その問題点を列挙してみることで「英語の魔物の正体」を分析してみましょう。
[1] 「日本語と英語の発音原則と文化の違い」を教えないのは✖
[2] 英語は「Spellingが一番大事」なんてことはない
[3] 「音読を重要視しない」のは✖
[4] 「Phonics(フォニックス)を教えない」のは✖
[5] 「口語文法と文語文法の乖離」を教えないのは✖
[6] 英語は「中学英語(英検3級)の文法知識だけでOK」なんてのは✖
[7] 「日本の英文法書で英文法を網羅してる」と思うのは甘すぎる
[8] 英語上級者になるには「単語帳を作って力づくで覚えるだけしかない」訳ではない
[9] 「副詞節という魔物」で文章構造をゴマ化す大きな勘違い
[10] 「重文・複文を教えない」のは✖
[11] 「接続語の世界を教えない」のは✖
[12] 「並列構造を教えない」のは✖
まだまだ、これ以外にも多数の問題が存在しています。
第2章 3つの規則「文法規則と慣用規則、洗練性原則」とは何か?
では、なぜこれほど多くの問題が生じてしまっているのでしょうか?
実は「英語の正しさには3つの規則がある」のです。
それがGrammar Rule(文法規則)、Usage Rule(慣用規則)、Stylistic Principle(洗練性原則)です。

日本の英語教育ではこのうちの「Grammar Rule(文法規則)の一部」しか教えられていないのです。
第1章で示したもののうち[5]~[12]はこの3つの規則の導入・学習の不足に起因しています。
- [5]~[10] ➡ 主に、Grammar Rule(文法規則)
- [11] ➡ 主に、Usage Rule (慣用規則)
- [12] ➡ 主に、Stylistic Principle (洗練性原則)
Usage Rule (慣用規則)とは
Usage Rule(慣用規則)とは、文法的には正しくても「英文的には不自然」であるか、又は「誤解をしやすい表現を避ける」為の規則です。
❌ I went to home early. 早く家に帰りました。
〇 I went home early. 早く家に帰りました。
- 「go to 〜」は文法的には正しいが、ここではhomeは副詞扱いなのでto は不要。
- 文法的にはほぼ正しく思えるけれど、ネイティブは絶対に言わない。
❌ If you will go to school tomorrow, I will go too. あなたが明日学校に行くなら、私も行きます。
〇 If you go to school tomorrow, I will go too. あなたが明日学校に行くなら、私も行きます。
- If文にwillを使うのは、文法的には問題は無い。
- しかし、仮定法の1st Conditionalという文型がある為、慣用的Errorとされます。
Stylistic Principle (洗練性原則)とは
Stylistic Principle(洗練性原則)とは、文章の流暢性、表現の一貫性など洗練性に関わる原則です。
文法や慣用規則的に正しい文であっても「ぎこちない、又は稚拙な表現に見える」場合、それは流暢性が低い文章、つまり洗練性原則を損なった文章とされます。
❌ She likes reading books, listening to music, and she goes hiking.
〇 She likes reading books, listening to music, and going hiking.
- 最初の文章は文法的にも慣用規則的にも間違いではありませんが、構造の並列性が崩れていて読みにくく、不揃いな印象を与えます。
- 即ち、これはParallel Structure(並列構造)という洗練性原則に違反しているためです。
- こうした洗練性原則違反はTOEFL、IELTS等のCEFR C1〜C2 Level Writingで明確に評価対象となります。
- また、Lexile Score 1000を超えるような英文は、この洗練性原則に満たされたものがほとんどです。
第3章 「3つの規則の壁 ≒ Lexile Score 1000の壁」であった
前章の話より導かれる「大雑把な結論」ですが以下が言えそうです。
「文法規則」 VS 「慣用規則」と「洗練性原則」の間の壁とは 、
≒ Lexile Score 1000の壁
≒ CEFR B2とC1の壁
≒ 英検2級と1級上位層の壁
私が学生の頃の数十年前から、「英検2級と英検上級者との壁」を謎に感じていました。
その長年の疑問への解答がようやくここで明らかになった訳です。